反骨と異端

アウトローは文化だ

水野和夫氏「マイナス金利は、資本主義の終わりを告げている」(その2)

長い記事なので3回に分けてアップしますが、2回目。

 

12世紀までローマ教会は「貨幣=石」(貨幣不妊説)と解釈していたから、お金の借り手は利息をつけて返済する必要はなかった。「時間は神の独占物」であるので、利息を禁止するには貨幣不妊説は教会にとって非常に好都合だった。

ところが、13世紀、都市化と貨幣経済化が浸透してきたため、商人たちは利息を認めるよう教会に訴えた。そこで、教会は「貨幣は石から種子となった」(大黒俊二「嘘と貪欲」)と解釈を変えたことで、初めて貨幣が資本となった。

マイナス金利は、資本主義の終わりを告げている。資本家が工場や店舗などを新設するよりは、多少欠けるとしても石の方を選考したのである。リスクをとって最新のパネル工場新設や原子力会社を買収すれば、巨額の特損となって、会社は存亡の機に陥る。耐久消費財が行き渡り、過剰設備を抱えた日本では投資は減価償却の範囲内で十分だ。

日本企業が生み出す付加価値は営業余剰(営業利益に相当)91.4兆円、固定資本減耗(減価償却費)87.8兆円、雇用者報酬212.5兆円に分配されている(14年内閣府、「国民経済計算」)製造業は海外企業との競争上、新設投資が必要で、利益を計上するにしても、過剰設備を抱える非製造業は営業利益80.4兆円の相当部分を雇用者報酬に回すことが可能だ。

そうすれば、97年をピークに趨勢的に下落していた賃金に歯止めがかかり、製造業の3分の2しかない非製造業の一人当たり雇用者報酬は製造業のそれに近づく。貨幣が石となれば、配当を要求する株主はもはや時代遅れになる。77年にガルブレイスは「企業と貨幣が不確実性の源泉」(「不確実性の時代」)で消費者のことなど眼中にない「株主は時代遅れ」だと指摘していた。

 

 

 

(やどかり)学習用に全部手打ちしました。貨幣は石に戻ったわけです。月の裏側まで行って未知の鉱物を発見して、その鉱物を商品化して販売して爆発的に売れる…関係企業の株価が爆発的に上がる…くらいのイノベーションとバブルが起こらないと、貨幣は石から種子に転じないというのが『資本主義の終焉と歴史の危機』だったように思います。