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反骨と異端

やどかりアウトロー編

「矢沢永吉は広島の義務教育」か?~『モヒカン故郷へ帰る』

mohican-movie.jp

 

現在、公開中の映画『モヒカン故郷へ帰る』であるが、見てないですけど、わたしは最初、広島および中国4県限定公開の“ご当地ムービー”だとばかり思っていたのだけど、主演の松田龍平が先月号の『日経マネー』の表紙になっていて驚き、

 

さらに同誌の映画の紹介を読んでいて、矢沢永吉の熱狂的なファンの父親が中学校の音楽教師をやっていて、「矢沢永吉は広島の義務教育」と言って、永ちゃんの「アイラブユーOK」を中学校のブラバンで演奏させる…という映画の筋を読んで、さらに驚く。

ありえない。こんなの広島を知らない人が書いた脚本じゃないの。

 

いや、これが仮に

老いた音楽教師が吉川晃司のファンで、「吉川晃司は広島の義務教育」といって、「モニカ」を中学のブラバンで演奏させる…という筋なら別に驚かないのだが、矢沢永吉と広島人って“微妙な関係”だって、永ちゃんサイドの理由で。

 

矢沢永吉のベストセラー自伝『成り上がり』って、前半部分は“永ちゃんは広島出身だが、広島が大嫌いで、広島とは縁を完全に切った”という話がえんえんと書いてある本である。

あの本が出てから、広島人は矢沢永吉と微妙な距離をとるようになった。

 

私はあの本を20年前に1回読んだきりなので文章は以下の通りではないが、矢沢永吉は少年時代、親をピカドンでやられ広島の親戚をたらい回しにされて苦労したことで、「広島はドクサレの街じゃあ~、ヘリコプターの上から小便かけたろうか」というくらい広島を嫌っていて、高校を卒業してからさっさと夜行に乗って横浜に到着してからが、矢沢永吉のキャリアのスタートであり(本人談)、自分の家族に対しても、「いいか、広島に矢沢という人がいるけど、自分たちとは一切関係がない」と言い渡しているらしい。

成りあがり How to be BIG―矢沢永吉激論集 (角川文庫)

矢沢永吉がそういうことを『成り上がり』にはっきり書いちゃったから、広島人の側も矢沢とは距離をとるようになった。

郷土の誉れということもないし、地元関係の音楽イベントとかで、矢沢の曲を演奏したとか、ジモティの間で、矢沢永吉の名前が取りざたされたという話を1回も目にしたことが無いのである。

 

だから「広島が出したスター」というのは、吉川晃司と奥田民生なのである。この2人は全国区の有名人になっても、郷土広島とつかず離れず、音楽イベントやったり、カープの応援ツアーやったり地元商工会やら、自治体、マスコミとも仲良く(いい意味で)つるんでいる印象がある。

 

広島人の側もこの二人をはじめ、「広島出身のアーティストは何かと応援したい」という気持ちはあるのだが…矢沢は完全に別である。あそこまで『成り上がり』でぼろくそに言われて嬉しいわけがない。ましてや義務教育なんてとんでもない。全国ツアーでやってくるくらいでしょ、縁があるのは。

 

この映画って細かく筋を見てみると、他にも変な箇所が発見できそうである。でも私は見ない。「スポットライト」の方が面白そう。

 

ちなみにこの映画の脚本と監督は、沖田修一さんで玉出らしい。やっぱりね。そうだと思いましたよ。広島のご当地ムービーも何本もあるんですが、ご当地ムービーは地元の脚本家が脚本を書くから、この手の違和感はないんですね。