反骨と異端

アウトローは文化だ

下流老人の心豊かな安心老後

和の国富論

 

『和の国富論』しばし前に完読。

この本の中で、東京都内で、生活保護受給者、認知症老人や各種障害者、貧困老人を集めて、いろんなグループホームや施設を運営している「ふるさとの会」が紹介されています。

「ふるさとの会」では、生活保護者を中心に、1人あたり14万円ほどもらって、グループホームや、その他生活介助や、看取りサービスを展開しているそうです。

なんとすでに「ふるさとの会」のメンバーは1200人を超えているそうです。下流老人ばかり集めてすでに一大勢力化しているのですね。

“東京都内の空き家率11%”という藻谷先生の講演を聞いてから、「ふるさとの会」の水田さんがそれをヒントに、

“東京都内の空き家を会で借り上げて、貧困老人が安心して暮らせるサービスを提供しよう”というコンセプトではじめた事業です。

ふつうこういう老人を収容する施設って、東京からかなたに離れた遠隔地につくるものなのですが、「ふるさとの会」は都内のど真ん中にいろんな空きアパートや施設を借りあげて、老人を収容しちゃったわけですね。

家に閉じ込めるだけだと、いわゆる暴力団がやっている貧困ビジネスになってしまうけど、「ふるさとの会」の場合は、“孤独死してもおかしくない生保受給老人が、温かい仲間に看取られながら死んでいくための施設”であることを趣旨にしているそうです。

認知症アルコール依存症といった、普通の施設であれば叩きだされるようなメンバーに対しても、最後まで見捨てない…という看取りケアを研究・実践しているという、“キモくて金がなくて子供も無い中高年”にも明るい希望の持てる施設と言えますね。

生保受給者や下流老人は増える一方なので、こういう下流老人が集まって互助会というか、お互いに出来ることはお互いのためにサポートするというコンセプトで施設をつくっていくことは必要だと思います。

社会福祉法人にしないんですか?」という藻谷さんの質問に対して、水田さんが「法人にしてしまうと法律的な縛りができて、自由な看取りケアがやりにくくなる」と回答していたのが印象的でした。

風光明媚な田舎にゴージャスな老人施設をつくって、月30万円払える上流老人しか入れないような高級介護を受けるようになっても、入居者は孤独なことは孤独なので、ゴージャス老人施設の生活がつまんない人も大勢いると思いますけど、

「ふるさとの会」のやり方だと、何か所かある施設は都内であり、困窮老人同志で互助会的に助け合えることは助け合おう、トラブルを起こす老人もいるけど排除しないで包摂しよう、ルールを守れない人が一番つらいんだからさ、無縁死するくらいなら、血のつながりは無い者同志でも、お互いに看取りをしようという趣旨はすばらしい。うむ。

本書の対談中、藻谷浩介さんと水田恵さんのやりとりがいちいち刺激的でありました。本書はいろんな論客と藻谷さんの対談本ですが、藻谷さんの聞き役としてのうまさが存分に発揮されてます。

この本を読んで、全国のあちこちで「ふるさとの会」みたいな施設がたくさんできればいいですねー。

ちなみに藻谷先生ですが、新刊を記念してライブ講演と、握手会をされるそうです。