読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

反骨と異端

やどかりアウトロー編

ちいさな王子 (サン=テグジュペリ/野崎 歓/光文社古典新訳文庫)

 

ちいさな王子 (光文社古典新訳文庫)

ちいさな王子 (光文社古典新訳文庫)

 

 

kindle版で読了したのでメモ。

フランス語の原文の翻訳権が消失したので、日本でも『星の王子さま』の翻訳ラッシュが相次いだのですがそれが一段落してから刊行されたのが本書らしい。

といっても新刊ではなく光文社古典新訳文庫に野崎さんの訳本が収まったのは2006年ということで、すでに10年以上経過しています。

 

子供のころ読んだ『星の王子さま』は“です・ます調”でしたが、本書は“です・ます調”ではないので、ややぶっきらぼうであり、読んでいてわたしのなかの『星の王子さま』モノローグの印象が違うのですが、です・ます調ではないほうが原文イメージに近いのかもしれません。

最初に読んだのは私が小学生のころですが、難解すぎて意味がよく分かっていませんでした(意味というか…小説のハイライトですが、小学生が理解するには高度に美しすぎた)。

中年になって子供のころには理解できなかったくだりが、しみじみと味わい深く変化しているのを知るのは楽しい経験でした。

この小説は“昔子供だったことがある大人、子供であったことを忘れかけていて久しい大人”…という表現がたくさん出てきます。

私にも小学生だったころがあるけど、この小説に書かれているような純粋で素っ頓狂な発想ができる「子供らしい子供」では全くなくて、なんか屈折した内向的で陰気なガキだったような…

むしろ40代になった今のほうが、この小説のディティールを深く味わえる。「人間は成熟するほど若くなる」というヘッセの言葉がかぶります。作者のサン・テグジュベリは44歳で死亡してしまいました(航空機の事故で)。いつの間にかわたしのほうがテグジュベリより年上になりつつあるのですね。