反骨と異端

アウトローは文化だ

山口組分裂の「真相」と「今後」と「溝口敦」(その4)

nikkan-spa.jp

 

山口組総本部)「溝口は息子が刺された件で山健組に使用者責任で裁判起こしたやろう。これが和解金500万円で手打ちにしてしもうたんや。けどな、これとは別に井上から2000万円が出ていると井上自身も言うてた。溝口が情報源にしとる正木(神戸山口組総本部長)もな。その後からや、『六代目山口組は名古屋方式』とかトバシの記事書き出したのは。ここ最近の溝口の記事は特にひどいが、正木に誘導されているようにしか見えんよ。言論の自由があるんやし、書くのはええ。(略)組織の動揺狙った記事書くなんて、ジャーナリスト構成員やないか」

 

(溝口敦)あとハッキリ言っておくが、私がお金をもらうのはメディアからだけだ。息子を山健組に刺された事件で組長の使用者責任を問い、山健組に裁判を起こし、裁判長の勧めで和解した際に和解金は受け取ったが、これは分裂の前、8年も前の話。裁判は息子刺傷事件に対する損害賠償請求訴訟であって、もともと山健組からお金を取ることを目的としている。和解金をもらって何一つ恥じる必要はない。和解金と私の筆先とは無関係だ。それを言うなら、山健組は息子を刺した憎き仇という考えはどうすると言いたい

 

 

 

『SPA』の記事ですが、弘道会側(山口組総本部の“責任ある幹部”の人)と、溝口さん側の言い分が食い違っている点が面白い。

この個所を読んで、溝口さんと山口組の“過去の闘争の歴史”を知っている人であれば

 

 

「あれ?! 溝口さんの息子さんを襲撃した人は山健(神戸山口組)であって、今回の山口組の分裂は、弘道会と山健側の派閥争いだし、それなら溝口さんは弘道会を応援するのが“筋”じゃないけど人情であって、なんで(弘道会と死闘を繰り広げている)山健をあれだけ応援しているの?」

 

みたいな疑問が一瞬浮かぶよね。

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溝口さんは、組織にとっては「敵」であって、「お友達ジャーナリスト」ではなくなってきていると思うのだが、

 

この引用した『SPA』の記事を読むと、弘道会側(山口組総本部@名古屋)も、溝口さんがなぜ山健支持(神戸応援団長)なのか気になるけどあまりわかっていないようである。

だから言った者勝ちで、「別に井上から2000万円が出ていると井上自身も言うてた」ということになるのかもしれない。

断言してもいいけど、神戸山口組が2億円出しても、溝口さんは買収できません。

 

(3回刺しても組織相手に反撃してくる、あの根性忘れたか?)

 

そういう理由じゃないと思うんだよね。

 

というわけでこのエントリーでは

【なんで溝口敦って神戸山口組を応援しているの?】

という理由について考えてみました。試論ね。

 

 

【なんで溝口敦って神戸山口組を応援しているの?】

(理由その1)情報の非対称性

(理由その2)既存権力に対する闘争性

(理由その3)アマデウス症候群

 

(理由その1)情報の非対称性

溝口さんが自分で述べているように、弘道会側がメディアに対してずっと情報統制を敷いていて、情報を「出さない」ことは有名です。

反面、ライターの仕事とはなるべく「新しい」情報を大量にフォローしてわかりやすく伝えることだから、自分たちにとって都合のよい最新情報をライター側に与えてくれる山健側は、ライターや記者にとってはありがたい存在なのね。

 

(神戸が溝口さんやメディアに放っている情報)>>>>(名古屋が溝口さんやメディアに放っている情報)みたいな、情報の非対称性が原因のひとつ。

 

弘道会山口組総本部@名古屋)がなぜ内部情報とか、自分たちにとって都合のよい情報でも外部にもっと発表しないのか?という点については諸説あるが、今の6代目が3代目のファンで、3代目がメディアに情報を垂れ流すのを嫌ったことが大きいような印象。

 

(理由その2)既存権力に対する闘争性

溝口さんの文章読んでると、左翼っぽいというか、既存の権力に対する闘争的姿勢がDNAレベルで組み込まれているというか、権力ぽい何かに反発して脊髄反射するような印象があるのだが;

 

山健(神戸山口組)と弘道会山口組総本部@名古屋)の勢力図を比較すると、やはり現在でも構成員の絶対数的には

弘道会山口組総本部@名古屋)>山健(神戸山口組

だから、ま、“より巨悪”の方を叩くことに一抹の正義はあるようなないような。

 

愛知県警とか「(分裂騒動に乗じて)弘道会ぶっ潰せ」みたいな、異様なテンションで別件逮捕とか出しまくっているみたいだし、“職業偽ってネット銀行に口座つくった”とかそんな理由で逮捕するの本来アリなん?

なんか“弘道会がんばれ”ってネットにも書けない空気になってきているのだが。

弘道会がんばれ。

 

(理由その3)アマデウス症候群

「溝口敦」というキーワードを見かけると、時系列で「溝口敦」「島田紳助」「清原和博」…と並べたくなります。他にももっといそうです。

「六代目の“毒”にあたっておかしくなってしまった男」のリストです。

(毒を発している人は、「破滅させよう」とか思っていないんだろうけどなあ)

 

著作によると、溝口さんは1988年に今の当代(この当時は弘道会の会長)にインタビューしているそうです。28年以上前の話であります。このころの六代目の画像がありました。

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『六代目山口組ドキュメント 2005~2007』 (溝口敦/講談社+α文庫)という単行本をkindleで買って、私も読みましたけど、

読んだ直後の感想というのが

 

①「だって、こんな完璧な人 いるわけないしー」

②「仮にここまで完璧に理想的な人がいたとして、なんでヤクザなの?」

 

みたいな、ものすごい強烈な、同時に不可解な印象を残す1冊でありました。印象批評ですね。すみません。

ま、あの本を読んだ人も多いと思うけど、ある時期までは、溝口さんは熱烈な弘道会シンパだったんじゃないか。

六代目の派手な容姿だけ見ていてもこの人の“毒”の正体はわからず、弘道会が(かつては)どういう組織だったのか?を、知ることによって、「男を狂わせる男の毒」というのはあるんだろうなあ…と思うのでした。

つか溝口さんは弘道会すごくかっこよく書いているような、“カチコミ禁止”とかディティールまで緻密に書き込んだ最初のジャーナリストだったような気がする。

 

 

アマデウス症候群」とはアマデウスモーツァルトと、彼の同僚で同じく作曲家であったサリエリの関係性のことを言います。

映画『アマデウス』見れば分かりやすいですが、モーツアルトは天才作曲家で生活無能力者でアホだったようで、宮廷音楽家として最高の地位に就いていたサリエリ(才能は2流以下)に「執着」されて、モーツァルトは若くして地獄のような貧困に苦しみながら死んでしまいます(サリエリに殺害されたという説もあり)。

 

創造的な才能に恵まれた、男の執着とは怖いなあと思うのですが、サリエリにしてみると、モーツアルトがどれだけ稀な存在であるか、自分が一番よくわかっている、だから冷静でいられない、愚鈍な世間を欺いても、自分がアマデウス破壊することによって、彼の上に立とうとした…みたいな解釈ができそうです。

 

「破壊することの何が愛か?」なんて言ってはいけません。破壊することで相手を独り占めすることも出来るのです。

 

 

閑話休題

国内最大規模の“任侠団体”も「暴力装置」に認定されているようなので、そういう「巨悪」を「言葉」で叩いて封じることに、溝口さんが必死になっているとしても、それはそれで全く誰から批判されるようなことではなく、国民の側としては、利益のあることではあります。

 

 

山口組分裂の「真相」と「今後」と「溝口敦」(その5)に続く