反骨と異端

アウトローは文化だ

民族が記憶すべき死

読了。 

 「最後の一機には、この冨永が乗って体当たりをする決心である」と、毎回、特攻隊に向かって訓示していた冨永司令官は満州終戦を迎え、ソ連の捕虜となった。

(略)
「なんのための、体当たり攻撃だったのか」

(略)
過剰な精神主義が、特攻を続けさせた

(略)
戦争は、畢竟、意志と意志との戦いであります。

(略)
「勝つと思った方が勝つんだ」というのは、子供の発言なら分かります。しかし、一国の首相の発言ではありません。

(略)
東條は、「違う。精神で撃ち落とすんだ」と答えたのです

(略)

特攻隊の全員が志願なら、自分達上官の責任は免除されます。

(略)

「命令した側」と「命令を受けた側」をごちゃ混ぜにした、あきれるほどの暴論です。どんな集団にも、リーダーと部下がいて、責任を取るのは、「その指示を出したリーダー」です。その指示に従った部下まで責任を取るのなら、「責任」というものは実質的には無意味になります。

(略)

けれど、「精神」を語るのは、リーダーとして一番安易な道です。職場の上司も、学校の先生も、スポーツのコーチも、演劇の演出家も、ダメな人ほど、「心構え」しか語りません。 本当に優れたリーダーは、リアリズムを語ります。現状分析、今必要な技術、敵の状態、対応策など、です。今なにをすべきか、何が必要かを、具体的に語れるのです。

~『不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか』 (講談社現代新書)